2024年、日本を揺るがした紅麹健康食品の問題は記憶に新しい。小林製薬は自社製品による健康被害の拡大を受け、127億円もの特別損失を計上。さらに同年、自動車業界ではデンソー製燃料ポンプの欠陥によって、リコール対応費用が累計4,400億円にまで膨れ上がったと報じられました。こうした巨大な損失の共通点は、「製品の欠陥そのもの」ではなく、問題が発覚した後の対応速度と精度が十分ではなかったことにあります。

私たちが着目するのはまさにこの「リコールの初動」にあります。製造・出荷・流通という複雑な工程を通じて、市場に出た製品がどこにあるのかを正確に把握することは、従来の紙台帳や部門間の手作業連絡では不可能に近いと言えるでしょう。特に部品や原材料の段階で問題が見つかった場合、それがどの製品に使われており、最終的にどの取引先や消費者のもとに届いたかを特定するには、サプライチェーン全体を通した情報の可視化と統合が不可欠です。

特に消費者の命や健康に関わる業界においては、数時間の遅れが命取りになります。対応が遅れれば遅れるほど、被害は拡大し、報道は過熱し、企業に対する社会的な信頼は急落します。しかも、その損失は金銭的なものだけでなく、ブランド価値や市場での立ち位置にも直結します。

TrackOneは、製品一つひとつにユニークなIDを付与する仕組みを採用しており、生産から出荷、最終流通先までのすべての履歴を時系列で記録・蓄積します。これにより、問題が発覚した際には、該当する製品だけでなく、それと関連するすべての製品・部材・工程を即時に特定することが可能です。

さらに、対象製品がどの取引先に送られ、どの流通経路を通っているかをTrackOne上で視覚的に確認でき、ワンクリックで関係先へリコール通知を発信することもできます。これは、従来のように消費者に広く呼びかけ、コールセンターを臨時に設置し、商品番号やロットを人手で照合するという、膨大な時間とコストがかかる方法とは一線を画すアプローチです。

TrackOneを使えば、情報収集・分析・通知・対応指示という一連の対応プロセスを自動化・可視化できるため、リコールのスピードと正確性が格段に向上します。単なるシステム導入ではなく、「対応そのものの構造を再設計する」ことが、私たちのソリューションの強みです。